地役権に関して学習すべき内容はこれだけ!

地役権とは?

地役権とは、土地の便益を上昇させる目的で他の土地を利用できる権利です。もっと簡単にいうと、人の土地を何かしらの理由で使わせてもらう権利が地役権になります。

たとえば、道路に接した土地と道路に接していない隣地があり、道路側の土地を通らないと隣地の持ち主が道路に出れない場合などに設定される権利が地役権です。

地役権の設定は両者の合意で成立し、上記でいう隣地を要役地、道路側の土地を承役地といいます。つまり、要役地は地役権によって恩恵を受ける土地で、承役地は地役権によって負担が生じる土地というわけです。

地役権にはいくつか種類があり、上記の例では通行地役権(土地を通らせてもらう権利)が設定されます。他にも種類は色々ありますが、重要度は低いので割愛します。

1つの地役権が設定された土地にさらに別の地役権が設定できる点と、要役地と承役地は必ずしも隣接している必要はない点だけ覚えておくといいでしょう。

それぞれの土地が別でも要役地と地役権まで分離はできません。要役地の不便を解消するための権利でもあるわけですから、地役権だけを切り離して処分したりはできず、たとえば要役地を譲渡すれば地役権も一緒に譲渡されることになります。

また、要役地や承役地が共有地だった場合でも土地全体に地役権は存在します。つまり、共有者の1人が持ち分だけ地役権を処分しようとしてもできないわけです。

その他、地役権でおさえておきたい点

承役地の持ち主は地役権によって負担が生じますが、地役権は必ずしも有償とは限りません。契約内容によっては無償になることもありますし、通行料などを徴収したい場合は有償の契約を結ぶ必要があります。

もう一つ覚えておきたいのは、承役地が不法占拠されていても、地役権者には土地の引き渡しを請求する権利はない点です。

当然といえば当然ですが、地役権は元々人の土地を必要な時だけ使わせてもらっている権利のため、地役権者が引き渡しを主張できるものではありません。たとえ相手が不法占拠者であっても人の土地である点は変わらないので、引き渡しを請求できないわけです。

最後の一押しでおさえておきたいのは、地役権は時効の対象になる点です。取得時効でも消滅時効でも10年あるいは20年で時効が成立します。

時効をすでに学習された方は理解できると思いますが、時効の対象となる所有権等の「等」の1つに地役権も含まれているのです。

地役権はほとんど出題されませんので、上記の内容だけ覚えておけば十分かと思います。過去問などで見かけたときに改めて復習しておくのもいいでしょう。