国土利用計画法で定められる土地取引後の届出のルール

国土利用計画法の目的

民法においては、売買契約で購入した土地をどのように使おうが買った人の自由です。しかし、現実問題として自分の土地だからといって何でも自由を許していては困るケースも多々あります。

たとえば、自由を主張して小学校の前に女性が体でサービスするお店を建てられたりしたら風紀上よろしくないですし、多くの人に迷惑になるわけです。

なので、土地を手に入れた人が宅地造成をしたり建物を建てる前に、土地の利用目的を確認する必要があります。そのために定められた法律が国土利用計画法で、総合・計画的に国土の利用を図るのが目的です。

国土利用計画法を学ぶ時に最も重要なのは届出で、これによって利用目的のチェックがされます。宅建でも出題されやすい部分ですから、届出のルールをしっかりと覚えておきましょう。

取引後の届出のルール

具体的な届出のルールですが、まず、土地の売買契約が成立し買い手が土地を手に入れたら、知事への届出が必要です。届出義務があるのは権利取得者で、この場合は土地の買い手が届出ないといけません。

届出のやり方は市町村経由となっていて、手に入れた土地の市町村を経由する必要があります。

届出の期限は契約後2週間以内で、期限内の届出がないと懲役や罰金などの罰則が科せられます。ただし、罰則を受けても契約が無効とはなりません。

肝心の届出内容ですが「誰と誰が」「いくらで」「何の目的で」取引したかを届け出ます。届け出るのは権利取得者ですが、届出内容には相手のことも伝えないといけません。

内容に問題がなければ届出は完了ですが、利用目的に問題が見つかる場合もあります。この時は都道府県知事が、目的変更の勧告をすることも可能です。

勧告に従わない場合でも契約は取り消されず有効ですし、特に罰則もありません。しかし、制裁として氏名や勧告内容の公表があります。

また、勧告期限の原則は届出を受けてから3週間以内です。この期間は+3週間まで延長可能で、あわせて6週間の勧告期限が設けられることになります。

さらに覚えておきたい細かい決まり

一団の土地

利用目的を確認する土地の大きさにも決まりがあります。あまりにも小さい土地の取引まで届出させても全てチェックできませんから、届出の基準を土地面積で定めているわけです。

その基準地は
市街化区域・・・2,000㎡以上
市街化区域以外の都市計画区域・・・5,000㎡以上
都市計画区域外10,000㎡以上
となります。

上記の数値は暗記必須ですが、元の土地面積が基準値以上でも届出が不要なケースもあります。それは、分筆して土地を手に入れた場合です。

たとえば、市街化区域にある3000㎡の土地を1000㎡と2000㎡に分譲した場合は、2000㎡以上の土地を手にした人だけに届出義務があり、1000㎡を手にした人は届出不要となります。

逆に言うと、2つの土地を手に入れて合計面積が基準値以上になると、それぞれの取引について届出が必要です。


権利を対価を得て移転・設定

届出が必要となるのは、対価を得て権利を移転・設定する契約を締結した場合です。契約は互いの合意によってなされるものですから、一方的な意思表示は契約にあたりません。

つまり、取引の種類によっては届出対象面積以上であっても届出をしなくていいケースもあるわけです。

たとえば「贈与」のように対価がないものや「相続」のように対価も合意もないものは届出が不要になります。

また、お金をもらうだけが対価にあたるのではなく、借金の肩代わりや弁済などは債務の消滅が対価にあたるため、届出が必要です。

届出が必要な取引かどうかの判断はかなり難しいと思いますが、テキストや過去問で繰り返し学習して慣れるようにしましょう。

なお、届出はそもそも土地の利用目的の確認が目的ですから、確認するまでもない時は届出も不要になります。確認するまでもないというのは、国や地方公共団体、裁判所などが取引に関わる場合です。