固定資産税の納税義務者と本試験で出題されやすいポイント

固定資産税の納税義務者

固定資産税とは、言葉通り固定資産を所有していると課される税金で、分類は市町村税です。固定資産には有形固定資産や無形固定資産など色々ありますが、土地、家屋、償却資産が課税対象となります。

償却資産というのは、会社などで使う備品など、減価償却費を計上する資産です。簿記の知識がないと減価償却費の意味がわからないかもしれませんが、宅建では特に学ぶ必要はありません。「固定資産税=土地や家屋をもっていると課される市町村税」と解釈しておくだけで十分です。

それよりも重要なポイントは「納税義務者は誰か?」という点で、試験でも出題されます。

固定資産税の納税義務者は、毎年1月1日現在に、固定資産課税台帳に所有者として登録されている人です。例外として、「質権が設定されている土地は質権者」「100年より永い存続期間の定めがある地上権が設定されている土地は地上権者」が、それぞれ納税義務者となります。

また、区分所有建物の敷地で敷地利用権が所有権の場合は、区分所有者が各持分の割合で納税しないといけません。逆に、賃借権等の場合は1月1日に所有者として登録されている敷地の持ち主が納税義務者となります。

納税義務者が変わる点は重要なので、絶対に覚えておきましょう。

固定資産課税台帳によって納税義務者がわかるわけですが、これを閲覧できるのは納税義務者本人か、借地権者または借家人です。

利害関係のない第三者は閲覧できない点もおさえておきましょう。

試験で狙われるポイント

固定資産税の課税標準は、毎年1月1日の固定資産課税台帳に記録されている登録価格です。

登録価格の評価替えは毎年というわけにもいかないので、3年ごとにおこなわれます。ただし、地目の変換や建物の改築・損壊など、見直しが必要な場合まで3年間同じというわけにもいきません。そこで、こうしたケースでは、例外的にその都度変更されることもあります。

標準税率は1.4%です。ここまで覚えておけば、ひとまず納税額の計算はできます。

しかし、固定資産税の課税標準には試験でも重要な特例があり、以下は暗記必須です。

・課税標準が6分の1になる
→ 住宅用地の床面積が200㎡以下の部分(小規模住宅用地)

・課税標準が3分の1になる
→ 住宅用地の床面積が200㎡を超える部分(一般住宅用地)

上記の特例は貸家用の住宅用地にも適用されるもので、それぞれ軽減分を考慮した計算が必要になります。

たとえば、300㎡の住宅用地の場合は、200㎡の部分と100㎡の部分を分けて計算しないといけません。どちらも200㎡以下の部分と考えるかもしれませんが、全体の200㎡までは小規模住宅用地で、残りが一般住宅用地を考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

仮にこの住宅用地の登録価格が9000万円だった場合は、以下のように計算します。

6000万円×6分の1(小規模住宅用地)+3000万円×3分の1(一般住宅用地)=2000万円

200㎡は全体の3分の2なので、登録価格(ここでは9000万円)に3分の2をかけて、200㎡分の登録価格を出します。9000万円から6000万円を引いてもいいですし、9000万×3分の1(100㎡のほう)の計算でも3000万円は算出可能です。

6000万と3000万それぞれに課税標準の控除分を軽減させて、でた金額を合計すれば納付税額がもとめられます。

固定資産税のこの特例は、重要なのでおさえておきましょう。

最後に覚えておきたいのは免税点です。

これは土地の場合は30万、家屋なら20万円となっています。代金ではなく課税標準の金額である点と、不動産取得税との金額の違いには注意です。