区分所有法【専有部分と共用部分・区分所有建物の管理】

区分所有法は勉強時間をとりすぎないのが大切

マンションには分譲と賃貸がありますが、分譲マンションに適用される法律が区分所有法です。マンション=居住用ではなく、分譲されていれば使用目的に関係なく区分所有法は適用されます。

区分所有法を学習するにあたって心構えといいますか、覚えておいてほしいことがあります。それは、覚えることが多い割に出題数は少ない点です。

「一切やらなくてもいい」とまでは言えませんが、以前と比べるとドンドン出題頻度が下がっています。ですから、0から全てを学ぶよりもポイントだけおさえておくのがオススメです。

民法や宅建業法はもちろん、法令上の制限などに手つかずの状態であまり区分所有法に時間をとられないように注意しておきましょう。

専有部分と共用部分について

まず言葉として知っておきたいのは、マンションの専有部分と共用部分です。居住用をはじめ、事務所や店舗として使われる分譲マンションの1部屋が専有部分になります。

一方、共用部分というのはマンションに入居している人みんなが利用するスペースです。共用部分はさらに法定共用部分と規約共用部分に分けられます。

法定共用部分は階段やエレベーター、廊下など、構造上共用されるもので、規約共用部分というのは管理人室や集会室など、専有部分にもなりえるけど規約で共用部分に定めた部分です。

どちらの共用部分も各部屋の持ち主みんなが使えるスペースですから、全員の共有になります。そして、その持ち分は各専有部分の持ち主がもたないと意味がありません。マンションの住人でもない人が階段や廊下に対して持ち分を持つ必要はないわけです。

ですから、共用部分と専有部分というのは基本的に分離させたりはできず、専有部分を譲渡したりすれば共用部分の持ち分も一緒に譲渡されます。

説明がややこしくなってしまいましたが、ようするにマンションの一室を誰かにあげたら、もらって住み始めた人も廊下や階段に対して持ち分があるという意味です。


共用部分の登記

法定共用部分は元々分譲の対象にはなりません。廊下だけ買うなんて話は普通はあり得ませんから、当然ですよね。なので、法定共用部分である旨の登記をする必要もなければ、登記なしでも第三者に対抗できます。

しかし、規約共用部分の場合はその旨の登記を表題部にしないといけません。なぜなら、規約共用部分は専有部分となってもおかしくない部分ですから、第三者ともめたりするケースが考えられるからです。

登記によって「この部屋は規約共用部分として利用する」と伝えておくことで、もしもの時には対抗要件にもなります。

区分所有建物の管理

上記のとおり、マンションには共用部分がたくさんありますし、住んでいる人も十人十色です。ですから、建物の管理とそのルールについては住んでいる人みんなで話し合い(集会)をして決めることになっています。

集会の決議で過半数の賛成があれば、マンションに関するルールが決定されます。ただし、決めるルールと賛成に必要な区分所有者と議決権の定数には例外がいくつかあり、これが試験対策ではかなり重要です。

・集会の召集には区分所有者および議決権の各5分の1以上の賛成が必要
所有者と議決権の定数は規約によって減らすことができます。

・共用部分の重大な変更には区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要
区分所有者の定数は規約によって過半数まで減らせるが、議決権は減らせません。変更によって専有部分の使用に影響が出る場合は、その専有部分の所有者の承諾をえる必要があります。

また、重大な変更にはあたらない保存行為は、決議なしで単独で可能です。

・規約の設定・変更・廃止は区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要
規約によって定数を減らすことはできません。重大な変更と同じく、特別な影響を受ける区分所有車がいる時はその人の承諾が必要です。

・使用禁止・競売・引渡請求は区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要
規約によって定数を減らすことはできません。これらはいずれも、ルールを破った住人への措置になります。

ルールを破るというのは規約に違反したという意味ではなく、いわゆる迷惑な隣人のイメージです。迷惑な隣人とは言っても「やめてください」と言うくらいなら、各自が単独でできます。(停止請求)ただ、度が過ぎる場合に集会で決議をして4分の3以上の賛成と、裁判によって請求可能となるわけです。

なお、競売というのはまったく別の人に迷惑な人の部屋を買い取ってもらうことです。使用禁止や引渡と同じく、これでも迷惑な住人を追い出すことができます。

・管理組合の法人化は区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要
規約によって定数を減らすことはできません。管理組合というのは自分の意思で加入するものではなく、区分所有権を得た時に自動的になるものです。

・大規模滅失の復旧決議は区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要
規約によって定数を減らすことはできません。建物価格の2分の1を超える部分が滅失した場合が、大規模滅失になります。

小規模なら過半数でよく、専有部分については各々の自由です。

・建て替え決議は区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成が必要
規約によって定数を減らすことはできません。建て替えに賛成する人は、建て替えを反対する少数派の専有部分の売渡を請求できます。 反対派が賛成派に買い取りを請求することはできません。