宅建で必要な知識はこれだけ!不動産鑑定評価の流れと方法

不動産鑑定評価の流れ

不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行う際は以下のような流れで決定します。

①対象不動産の確定
評価対象となる不動産を決めます。

不動産には「地域」と「土地」の種別がありますが、土地の現状と種別が同じとは限りません。たとえば土地の種別が宅地であれば、現実は農地でも鑑定評価上は宅地になるわけです。

②権利態様の確定
借地権や地上権など、どのような権利を評価するかを決めます。

③価格時点、価格または賃料の種類の確定
正常価格をはじめ、限定価格、特殊価格など色々な種類がありますが、これを決めます。

④地域分析・個別分析
不動産がどのような地域にあるかの調査です。

⑤最有効使用の原則
最も使用価値が高くなる用途を把握します。

⑥鑑定評価方式の適用
鑑定評価の方法を決めて適用します。

かなりざっくりした解説になりましたが、価格の種類や価格形成、地域分析にもっと細かい話があります。しかし、これらを深く学ぶ必要はありません。

というより、全部を完璧に覚えようとしたら他分野に手がまわらなくなります。その他の分野は宅建では優先順位が低いものですから、不動産鑑定評価についても上記の流れをサラッと見ておくだけで十分です。

唯一おさえておきたいのは不動産鑑定評価の方法なので、この点について以下で解説します。

不動産鑑定評価の方法

原価法

原価法では最初に価格時点における対象不動産の再調達原価を求めます。これは「同じ土地をもう1回造成したらいくらかかるか」の算定です。評価対象の不動産が土地ではなく建物の場合でも「同じ建物を建てたら?」と考えます。

次に、算定された再調達原価について減価修正します。簿記の知識がある方なら意味がわかるかと思います。たとえば、10年使ったらその分価値が下がるという考え方で、築年数などを元に再調達原価に修正をいれるわけです。

そうして求められたのが今現在の不動産の価格となり、これを積算価格といいます。

当然ながら、原価方式は再調達原価が求められない場所(既に市街地が形成されている土地など)では使えません。


取引事例比較法

多数の適切な取引事例を選択して、その価格に事情補正や時点修正を行い物件価格を算定する方式です。要するに、似た物件がいくらくらいで取引されているのかを参考にする方法になります。

ただ物件が似ているだけではなく、近隣地域または同一需給圏内の類似地域から取引事例を選ぶのが原則です。いわゆる相場から価格を決める方法のため、特殊な取引を事例に選ぶこともできません。

補正というのは、簡単に言うと「価格変動などを考慮しよう」という意味です。

なお、取引事例比較法によって求められる価格を比準価格といいます。


収益還元法

対象不動産が将来生み出すと期待される純収益の価値から、その不動産の価格を求める方法です。たとえば、賃貸物件なら賃料がどの程度入るかを算定して、逆算する形で物件の価格を決めます。

「これだけの利益になる物件だから、価値もこれくらいだろう」というイメージで考えると、単純でわかりやすいと思います。

収益還元法によって求められる価格を試算価格、あるいは収益価格といいます。

宅建試験対策で不動産鑑定評価を学ぶなら、上記3つの評価方法だけでも十分です。3つの方法についても、当記事の内容程度の知識と過去問で学ぶ範囲で事足ります。

過去問で稀にやたら難しい問題を見かけますが、そんなに詳しくなる必要もありません。

あまりガッツリやりすぎると、もっと難しい話がでてきてパニックになるので注意しましょう。