宅建業法の目的と宅地建物取引業を分解した4つの言葉の意味

宅建業法の目的

宅建業法の学習を始める前に覚えておきたいのは何のための法律か?という点です。宅建業法の目的は「宅地建物取引業の適正な運営と消費者保護」と言われていますが、ようするにお客さんが損をしないための業者のルールが定められています。

普通の消費者は土地や建物などの不動産取引を人生で何十回もしたりはしません。少なければマイホーム購入時の1回だけなんてことだってあるわけです。

しかし、宅建業者は何度も色々なお客さんと取引をしているので、何の知識も経験もない買い手は取引の良し悪しが判断できないことがあります。人生で一度きりの取引だったら、後になっても騙されたことにすら気づかないなんてこともあるかもしれません。

こうした自体を防ぐための縛りが宅建業法で定められていて、それを学ぶのが宅建の目的でもあります。「宅建業法はお客さんを守るための法律!」これを意識しながら学習するだけで、理屈がわかりやすくなり理解も深まりやすいです。

わからない話が出たり問題で詰まった時は、宅建業法の目的を思い出しながら学習をすすめていきましょう。

宅地建物取引業とは

宅建業の正式名称は宅地建物取引業ですが、この言葉は「宅地」「建物」「取引」「業」4つの単語に分けられます。それぞれの言葉の意味を理解するのはものすごく重要ですから、最初に確認をしておきましょう。


宅地

宅地というのは「現在、建物が建っている土地」「今は建物は建っていないが、建物を建てる目的で取引される土地」「用途地域内の土地」の3つを指します。登記されている地目は定義には関係なく、山林だったとしても建物を建てる目的で取引するなら宅地となります。

また、用途地域というのは都市計画法で定められている用途の決まった地域のことですが、法令上の制限の範囲なのでとりあえずそういう地域内の土地と思っておきましょう。

大事なのは、用途地域内の土地であっても道路や公園、河川といった公共施設用地は宅地ではない点と、それ以外は農地であっても宅地となる点です。


建物

建物の説明がいるのか?と思われるかもしれませんが、建物というのは住居に限りません。倉庫や工場も建物ですし、アパートやマンションの一室も部屋ではなく建物の一部です。


取引

取引とは「宅地建物の売買・交換を自らおこなうこと」「売買・交換・貸借を代理すること」「売買・交換・貸借を媒介すること」です。つまり、自ら貸借をのぞく8種類の行為はいずれも取引にあたります。

代理は本人の代わりに直接契約することで、媒介は仲介までにとどまります。ようするに、媒介は引き合わせまでで、契約の締結は当事者に任されるわけです。

取引をおこなうためには免許が必要なので、上記8つは免許が必要で自ら貸借は免許不要です。ということは、ビルの「管理」や自分のアパートを貸したりすることは取引にあたりません。


業とは不特定多数の人を相手に反復継続して取引をおこなうことをいいます。両方の条件を満たした時に業とみなされるので、特定の人に反復継続して取引をしたり不特定多数に一括売却したりしても業にはなりません。

業にならないということは免許も不要となるのですが、そもそも免許なしで宅建業を許されているところもあります。それは国や地方公共団体、信託銀行、信託会社の4つです。この4つはそこまで重要ではないですが、免許の有無の例外があるということは覚えておくといいでしょう。

何はともあれ、宅地建物取引業を分解した4つの用語の定義は暗記必須です。