委任契約における委任者・受任者の義務と契約の解除および代理との違い

委任者と受任者の義務

委任とは契約を人に任せることで、頼む人を「委任者」任された人を「受任者」といいます。委任は報酬が発生するものではなく無償契約が原則ですが、特約を定めることで有償契約とすることは可能です。

つまり、委任者は特約がない限り報酬を支払う義務はありませんし、特約に基づいて報酬を払う場合も委任契約終了後となっています。ただし、人に契約をお願いした以上、必要な費用を受任者に支払う義務を負います。

一方、受任者は有償無償問わず任された契約を全うしないといけません。これを善良な管理者の注意義務といい、受任者が守るべきルールになります。

委任契約で報酬の特約を定めていない場合は、委任者に報酬を請求したりはできません。

また、受任者は委任者から請求を受けた時は、契約状況を報告する義務があります。ただし、定期的に自ら報告する必要はありません。

さらに、受任者は委任者が負担する委任事務に関する費用を事前に請求することもできます。

委任契約の解除

委任契約は原則として、委任者、受任者のどちらからでも解除可能です。ただし、どちらか一方が相手方に不利益を生じる時期に解除をした場合、損害賠償請求できます。

その他、委任者の死亡や破産、受任者の死亡、破産、後見開始も委任契約終了の条件です。

委任契約はもともと双方の信頼の上に成立するものなので、契約終了後でも受任者は対処を要求されます。とはいえ、いつもいつも完璧な仕事をこなす必要はなく、緊急時(窮迫の事情がある時)に善処すればいいのです。

代理との違い

委任と代理はどちらも人に任せるという点では共通しているため、違いがわからないということもあると思います。宅建では両者の違いを詳しく問われるケースは少ないですが、覚えておくと理解が深まります。

まず、委任契約は法律行為をお願いすることで、受任者はお願いされた行為または事務処理をこなします。この時点で既に代理とはちがい、委任では本人に代わる必要はないわけです。

また、委任は代理のように本人に法的効果が帰属することはありませんが、帰属させることもできます。この場合も最初から本人に効果が帰属する代理とは違い、委任では自分にひとまず法的効果を帰属させることも可能です。

ようするに、自分経由で法的効果の対象をワンクッションおくようなイメージになります。

一方、代理の場合は最初から本人に代わって契約などをします。本人のためにするという代理人の意思表示による法的効果を本人に帰属させるためにあるのが代理です。

民法においてはこれを法技術といいますが、そこまで覚える必要はありません。法的効果を発揮させる手段といったイメージでとらえるといいでしょう。

代理では代理権をあたえる時に委任契約を結ぶことになるので、代理には委任が必要となります。まとめると、委任は契約の1つで、代理は法的効果を持たせる手段というわけです。

似ているようでまったく別物ですし、そもそも比べたりするものでもないのですが、混合してしまいそうな時のために覚えておくといいかもしれません。