印紙税の納付基準となる課税文書・非課税文書

課税文書と非課税文書

印紙税とは、契約書に代表される文書などを作成した場合に課される国税です。原則として、文書を作成した人に納税義務がありますが、作成者が複数人の場合は連帯して納める必要があります。

印紙を貼る文書は色々ありますが、宅建では不動産取引にかかわる各種書類をおさえておくのが重要です。

課税文書の代表格は土地建物の譲渡契約書で、本契約書はもちろん、予約契約書も課税対象となります。納付税額は契約書に記載された金額から計算する点も覚えておきましょう。

また、契約金額の変更が記載された契約書も課税文書にあたります。金額が増える場合は、増加額を基にして税額を決める点は変わりません。

しかし、金額が減少する場合は記載金額がないものとみなされて、税額は一律200円となります。つまり、金額が最初から記載されていない場合でも一律200円となるので、課税されないというひっかけには注意です。

他によく出る課税文書に、土地の賃貸借契約書があります。

この場合の税額は、記載されている権利金や礼金などの返還予定がない金額によって計算します。敷金や賃料は税額計算では関係ない点は特に注意です。

また、建物の賃貸借契約書は課税文書にはあたらない点も覚えておきましょう。

なお、予約や変更の場合の税額の計算は、土地建物の譲渡契約書の時と同じです。

その他のポイント

印紙税の課税標準は取引の種類によって変わります。「売買の場合は売買金額」「交換の場合は高いほうの金額」といった具合です。印紙税では計算させる問題はほぼないので、具体的な数字を知らなくても本試験では困りません。

覚えておきたいのは、国や地方公共団体と契約する場合です。個人と国などが契約して個人側が保存する契約書は国の作成した文書とみなされます。つまり、非課税文書にあたるため、納税義務はありません。

逆に、国などが保存する文書は個人が作成した文書になり、課税文書となります。もともと作成者に納税義務があるため、「個人は納めないとダメで国などは納めなくてもいい」と考えるとシンプルでわかりやすいです。

なお、個人のことを試験では私人(公的な立場や地位がない個人)と表現しますが、意味は変わりません。

それと、納付は文書に収入印紙を貼りつけて、消印した形でおこないます。万が一、余分に収入印紙を貼って消印しても還付を受けることが可能です。

印紙税に関しては、計算よりも「どれが課税文書か?」という点が問われやすいので、数字アレルギーの方でも取り組みやすいです。出題頻度は高くはないですが、税法を少しでも克服したい時には学んでみるといいかもしれません。