民法(権利関係問題)の出題範囲と学習のワンポイント

民法(権利関係問題)の概要と出題範囲

大きく分けた4分野の中で最も難しいのが、民法および権利関係の問題です。

今まで法律関係の勉強をしたことがない方にとっては「意味不明」とも思える用語がでてきますが、理解が深まると法律の専門家に一歩近づきます。

また、日常生活で耳にする機会がある「時効」「遺言」「相続」といった内容も学習範囲に含まれています。法律の中では氷山の一角とはいえ、学んだことが実生活でも役立つ場面が出てくるのが民法です。

民法(権利関係)問題のチャート

宅建試験で出題範囲となる具体的な学習内容には「意思表示」「制限行為能力者」「代理」「時効」「相続」「物件の変動」「危険負担」「債権譲渡」「不動産登記」「区分所有法」「抵当権」「債務不履行」「担保責任」「連帯債務保証債務」「賃貸借」「借地借家法」などがあります。

非常に範囲が広いですが、ひとつひとつ学んでいけば「難しすぎてお手上げ」というほどでもないです。

これから学習を始める方や始めたばかりの方は、ひとまず「民法は難易度が高くて量が多いから、早めに取り組んでおく」と考えておくといいでしょう。

基本的な勉強方法とワンポイントアドバイス

言葉の意味がわからないままでは「そもそも何の話をしているのか?」が理解できません。そのため、まずは最低限の用語を理解しながらテキストを読み進めます。

細かくその言葉の由来や行使できる状態まで全てを理解する必要はありません。

どの程度理解すればいいかですが、たとえば、一般的に善意というと「良い心」といった意味で使われますが、法律における善意とは「知らなかった」という意味になります。

つまり、テキストを読むときに「善意のAさん」とでてきたら「何も事情を知らないAさん」と捉える必要があります。ほんの一例ですが、言葉の解釈を間違うと何が何だかわからなくなるケースは多いです。

以上のように「この言葉はこういうもの」と、大雑把に理解しつつ勉強を進めていきます。

最初は忘れてしまったり解釈を間違うのも仕方ないですが、問題集に取り組む段階では聞き覚えのない言葉はない状態にしておくのが理想です。

学習でポイントとなるのは、民法は暗記だけで済む問題は皆無と思っておくことです。暗記で乗り越えれる問題もあるにはありますが、ないものと決めつけておくほうが学習もスムーズに進むと思います。

これを胸に刻みこんだ上で、問題を解く時には「何について、誰の立場の話をしているのか」を読み解くように意識していきます。丸暗記したことをただ放出するのではなく、常に頭で考えることが大切なのです。

また、実際の問題では違う立場だったら正解となる選択肢を混ぜて出題するひっかけもあります。ですから、問題を解く時は問題文および各選択肢の主語と述語をよく読み、ケースごとに正しいか間違っているかの判断が必要です。

学習を始めた最初は難しいかもしれませんが、常に頭を回転させることを意識すればいい意味でクセとなって無意識に読み解く力が身につきます。

まずはテキストを読むことからスタートして、全14問中10点以上の得点力を目標に学習をしていきましょう。

最初に学習に取り組むべき?

民法は内容を十分に理解して問題を解けるようになるまでに一番時間が必要だと思います。そのため、一番初めに学習する人も多いです。ただ、個人的にも勉強していてすごく退屈な内容でしたし、辛いと感じる方も多いのではないでしょうか。

本試験までに学習時間を多くとれる場合に限った話ですが、すぐに手がつかないなら後回しにするのも手です。

多くの参考書やテキストでは民法を一番最初に学ぶ構成になっていますが、宅建業法のほうが取り組みやすさは上だと思います。

民法に最初に取り組んで勉強そのものが苦痛になっては元も子もありませんから、学習する分野をご自身のやりやすいように変えてしまうのも作戦のうちです。もちろん、時間に余裕がある時から民法を学び始めて、十分に理解を深めておくのもいいでしょう。

逆に時間があまりない方は最優先で学習すべき分野です。

民法を完全に捨てると合格は厳しいので、学習時間の確保が難しい方は「民法」→「宅建業法」→「法令上の制限」→「その他分野」と、テキストに沿って順番に勉強していくのが無難です。

この順番になっていないテキストの場合でも学ぶ順序を変えたほうがいいと思います。