住宅金融支援機構による銀行支援の流れとその他の業務

住宅金融支援機構の目的

住宅金融支援機構とは、文字通り住宅に関する金融支援をするのが目的の独立行政法人です。

目的に関して正式には
1.一般の金融機関による資金融通の支援
2.一般の金融機関による資金融通の補完
3.良質な住宅の建設等を促進するための情報の提供
となっています。

要するに、直接消費者に対してお金を貸してくれるのではなく、銀行などの金融機関に対して支援をしていくわけです。

家を買おうとしたらローンを組むのが一般的ですが、どうせローンを組むなら安い固定金利がいいと思いますよね。しかし、銀行の立場からすると、固定金利だけでたくさんの人にお金を貸し付けても、返済してもらうのに何十年もかかりますから火の車です。

そういった事情から、銀行が融資した住宅のためのお金は住宅金融支援機構がバックアップしてくれるのです。

具体的にどのような流れで支援がおこなわれるのか、お金の流れを確認しておきましょう。

銀行支援の流れ

まず、消費者がマイホームを買うにあたってローンを組み、銀行からお金を借ります。金利がつくので、元利合計は必ず最初に借りたお金よりも多くなります。

ローンなので何十年か後には銀行は儲かりますが、今すぐお金を貸したのでお金がない状態です。

そこで、銀行は住宅金融支援機構に「債務者からお金を弁済してもらう権利」を買い取ってもらいます。当然ですが、貸した額より高い金額で買い取りをお願いします。

こうすることで銀行はすぐに儲けを作ることができ、他の消費者に再び融資することができるわけです。

とはいえ、何度も繰り返していたら、今度は住宅金融支援機構の首がまわらなくなってしまいます。そこで、住宅金融支援機構は買い取った権利をMBS(住宅金融支援機構債権)と呼ばれる証券にして証券市場に売り出すのです。

これが貸付債券の証券化といわれるもので、投資家によって証券が購入されることで住宅金融支援機構も儲けを得ることができ、銀行への支援を継続できるのです。

この一連の支援の流れが銀行支援業務、あるいは証券化支援業務という住宅金融支援機構のメイン業務になります。

なお、機構債権の発行にあたり、主務大臣の認可が必要になる点も覚えておきましょう。

証券化支援業務以外の業務

情報提供

住宅金融支援機構は、住宅の建設や購入に必要な資金情報の提供や住宅設計、建設に関する相談などの援助もしてくれます。これは一般消費者だけでなく、住宅建設に関する事業者も対象です。


直接融資

住宅金融支援機構は銀行支援が主な業務のため、一般消費者への直接融資は原則できません。
しかし、例外的に以下の場合は直接融資をが可能です。

・災害で家をなくしたり壊れたりした人が、建設・購入・補修する場合
・マンションの共用部分の改良資金
・高齢者や子供に適した賃貸住宅を建設・改良資金
・高齢者が自ら居住する場合の高齢者に適した住宅改良資金

上記項目はそのまま暗記で特に問題ありませんが、マンションの専有部分の改良資金は直接融資できない点に注意です。


既往債権の管理、回収業務

以前は住宅金融公庫という直接融資を主な業務としている金融機関がありました。

現在は住宅金融支援機構に代わっているので当然ありませんが、住宅金融公庫の主な業務が直接融資だったので、なくなった時の未回収貸付が残っています。この資金の管理、回収業務も住宅金融支援機構の業務に含まれています。

その他のポイント

その他、宅建試験でポイントとなるのは「業務の委託」「長期借入金」の2点です。

業務の委託

住宅金融支援機構は業務の一部を「一定の金融機関」「法律に規定する債権回収会社」「地方公共団体等の一定の法人」に委託できます。

銀行に債券回収の代行をしてもらうこともできるわけです。ただし、委託できるのはあくまで業務の一部で「情報提供」「相談」は委託することができません。


長期借入金

最初の支援の流れに話を戻しますが、銀行から貸付債権を買うための資金は住宅金融支援機構債権の発行以外に長期借入金を利用して調達することもできます。

機構債権と同様、長期借入を行う場合も主務大臣の認可が必要です。