宅建業者が受け取る報酬額の計算方法(消費税込み・複数業者の関与・権利金の授受)

消費税を考慮した報酬限度額の計算方法

宅建業者が受け取る報酬限度額の基本的な計算方法では、消費税を考慮していません。実際に問題を解くときには消費税も含めて考えないといけないので、ここで正確かつ、簡単な計算方法を解説していきます。

まず、報酬額の計算をする時には物件の売却価額から%をかけて計算をはじめますが、この時は消費税抜きの価額を使って計算していきます。

つまり、建物が消費税込みの価額525万円だったら、525万円÷1.05=500万円を売却価額にあてはめるわけです。

÷1.05は消費税込み価格から税抜価格を算出する計算方法になります。(消費税5%の話)

ただし、宅地の売買・交換では課税されません。課税されるのは、建物の売買・交換の話ですから、宅地の場合まで売却価額を割らないように注意しましょう。

さて、税込525万円の建物を基本の式にあてはめると、500万円(売却価額)×3%+6万円=21万円になります。

宅建業者はこの数字からさらに消費税分をいくらか上乗せした形で、依頼した人に請求できます。ただし、上乗せする数値は業者が課税業者か免税業者かで変わります。

上乗せの計算は
課税業者 → 報酬額(上記だと21万)×5%
免税業者 → 報酬額(同上)×2.5%
です。

つまり、先ほどの例で、宅建業者が課税業者なら21万+(21万×5%)=22万500円、業者が免税業者なら21万+(21万×2.5%)=21万5250円が、請求可能な報酬額となります。

別の計算方法、21万×1.05と21万×1.025でも上記と同じ答えですから、意味さえわかっていれば、慣れている方法でいいと思います。

この消費税の上乗せは、建物に限った話ではなく土地の売買や交換にもあてはまります。

また、媒介契約書に記載する報酬の項目にも、消費税分を含めた総額を記載しないといけません。この時の記載方法が正式なものではありますが、試験対策を考えると大変です。

たとえば、400万円を超える物件価格で、課税業者の報酬を媒介契約書に記載する形で計算すると、物件価格×3.15(3が基本式の数字、0.15は消費税)+6万3千円(6万が基本式の数字、3千円が消費税)となり、計算が複雑になります。

ですから、試験対策に学ぶなら最初の計算方法を解説しているテキストや問題集を使うのがオススメです。

賃貸借契約の報酬で消費税を考慮する場合も、上記とほとんど変わりません。課税業者であれば5%、免税業者であれば2.5%を報酬限度額に上乗せして請求できます。

注意すべきは「居住用建物と宅地の賃貸借では課税されない」という点です。非居住用建物の場合には課税されるので、取引の内容から目的物が課税対象かを判断するようにしましょう。

なお、基本の計算は物件価格ではなく、1ヵ月分の借賃になる点も忘れないよう注意です。

複数の宅建業者が登場するパターン

1つの取引に対して複数の宅建業者が関わった場合、1人しか関与しなかった時の報酬限度額が業者全員の合計限度額となります。つまり、1人あたりが受け取れる報酬額はぐっと少なくなるわけです。

これは貸借の場合も同様で、複数の業者が関与しても報酬の限度額の計算方法が変わりません。片方の業者が合計限度額まで報酬を受け取った場合などは、もう一方の業者は1円も受けとれないケースもあります。

これらの説明だけでは単純で簡単そうですが、過去問などで複雑なパターンが出題されているので、計算の練習もかねて繰り返し問題を解くようにしましょう。

権利金の授受がある場合の計算

権利金とは権利設定の対価として支払われる金銭で、返還されないもののことです。権利を購入したというイメージですが、賃借権も対象になります。

ですから、賃貸借の場合でも権利金が支払われた場合には、売買と同じ計算で報酬の限度額を算出することが認められています。ただし、これは非住居用建物や宅地などの賃貸借に限られ、居住用建物では不可です。

賃貸借の報酬限度額を売買と同じ計算方法で算出する場合は、権利金の額をそのまま物件価格に置き換えます。特に難しくはないですが、計算の練習はやっておきましょう。

最後になりましたが、報酬の制限は業者間でも適用されます。自ら売主制限とは違いますから、勘違いしないように注意です。

また、宅建業者が報酬以外の経費などを請求することは禁止されていますが、特別に頼まれた広告費などは報酬とは別に請求できます。こうした細かい点も出題される可能性が高いため、計算以外の部分も学んでおくようにしましょう。