不動産の譲渡所得税と試験で狙われやすい特例

不動産の譲渡所得に対する所得税

所得税とは、個人の所得に課される国税です。細かく分類すると種類がいくつかありますが、宅建で出題されるのは、不動産の譲渡所得になります。

不動産の譲渡所得というのは、土地や建物を譲渡した時に出る差額です。つまり、不動産で得た儲けに対する税金が、譲渡所得税ということになります。

最初に覚えておきたいのは、課税対象となる譲渡とは何か?という点です。譲渡=売買と覚えてる方もいるかもしれませんが、離婚時の財産分与なども譲渡にあたり、課税されます。

逆に相続税を物納した時などは、譲渡にはあたらないので所得税は課税されません。

譲渡所得にも他の税金同様にいくつか特例があります。特に重要となる特例について順番に見ていきましょう。

試験でポイントとなる特例

長期譲渡所得

長期譲渡所得とは、所有期間が5年を超える土地や建物を譲渡した場合の所得を指します。5年以下の場合は逆に短期譲渡です。

長期譲渡所得は軽減税率が適用され、15%になります。これは居住用の建物に限った話ではありません。

また、居住用の土地建物で10年を超える場合は、さらに税率が低くなります。この場合は、譲渡所得金額のうち「6,000万円以下の部分が10%」「6,000万円超えの部分は15%」の軽減税率が適用されます。

買い換え特例

古い家を売って得たお金で新しい家を買うなんてこともありますが、こうしたケースでは買い替え特例の対象となる可能性があります。厳密な定義は、居住用の不動産を売って、譲渡価格で別の居住用不動産を買うことです。

譲渡価格(売って手にしたお金)よりも買換え資産の価格(新しい家の価格)のほうが高ければ無課税となります。仮に譲渡価格のほうが高かったとしても、課税対象となるのは差額分だけです。

重要なのは買い替え特例を受けるための要件で、特に以下を覚えておきましょう。

・所有期間10年超え
・居住期間10年以上
・買換え資産の家屋床面積50㎡以上
・買換え資産の土地面積500㎡以下

なお、要件を満たして買い替え特例を受ける場合は、上記の長期譲渡所得に軽減税率の適用は受けれません。

住宅ローン減税

ローンを組むときに条件を満たせば、一定期間所得税の控除を受けられます。

条件は、「10年以上のローンを組む」かつ、「居住用の土地・建物を取得する」の2点です。ただし、土地の控除は建物と一緒に取得する敷地だった場合のみ適用されます。

控除を受けるためには年収が3、000万円以下でないといけません。また、前年、前々年に買い替え特例や居住用財産の長期譲渡による税率軽減などを受けている場合も不可です。

所得税に関しておさえておきたいポイントは他にもたくさんあります。しかし、所得税の学習に時間をさくのはオススメしません。

民法、宅建業法、法令上の制限など、他にもっと大事な部分がたくさんありますし、税法の問題数は少ないからです。税法の中にも不動産取得税など他に出題されやすいものもあります。さらに、所得税は他の税金と比べて難しい話も多く、全てをマスターしようとしたら大変です。

「やってもムダ」というわけではないですが、宅建合格を目的にするなら全力で取り組む部分ではありません。バランスを大切にして学習していくようにしましょう。