取引主任者から登録権者へ届出が必要なケースと登録移転手続きおよび主任者証の返納と提出

主任者による登録権者への届出

宅地建物取引主任者はたくさんいますから、各都道府県知事による各主任者の現状確認のための届出が義務付けられています。

届出を申請するのはもちろん主任者本人ですが、誰にするのか?というと知事です。この時の知事のことを特に登録権者といいます。免許の届出の時の免許権者と理屈は同じで、主任者登録を受けた知事が登録権者になります。

重要なのはどういった時に届出が必要なのかという点で、それは「一定の事項に変更があった場合」と「取引主任者ではなくなった時」の2つです。

一定の事項に該当するのは①主任者の住所・氏名・本籍 ②勤務先の業者名です。

①か②のいずれかの事項に変更があった場合は、本人が遅滞なく登録権者に変更の申請をしないといけません。業者が届出が必要なケースとよく似ていますが、何日以内といった決まりはないので、混合しないように注意しておきましょう。

続いては主任者ではなくなった時ですが、この時の届出は登録消除の申請手続きになります。ポイントは、誰がその届出をするかという点です。

・死亡 → 相続人
・後見開始(成年被後見人となった) → 成年後見人
・補佐開始(被保佐人となった) → 保佐人
・その他(破産・禁錮・懲役) → 本人

主任者登録を受けている人が以上のいずれかの事態になった場合、届出義務者が30日以内に登録権者に消除申請を届け出ます。

死亡だけは特殊な扱いで、届出義務者である相続人が知ってから30日以内となります。また、死亡の事実が判明した場合には、たとえ届出がなかったとしても知事は自ら登録の消除をしないといけません。

あと一つ注意しておきたいのは、破産時の届出義務者です。

業者が破産した時は破産管財人の届出が必要でしたが、主任者が破産した場合の届出義務者は本人ですから、この点も混合しないように注意しておきましょう。

登録移転の手続き

主任者登録を受けると全国で宅建取引主任者としての業務ができます。

登録している知事とは別の都道府県の業者に従事する場合でも元の主任者証が有効なわけです。しかし、登録している都道府県と現在の都道府県が極端に離れている時などは更新に手間がかかります。こうした時に登録の移転を行うことができます。

あくまで「できる」のであって義務ではありませんから、しなくても問題はないです。

登録の移転をする時は現在登録を受けている都道府県知事を経由して、新しい知事に登録移転の申請をする必要があります。

移転の手続きをすると元の主任者証は効力を失う点は注意です。つまり、新しい主任者証が届くまでは仕事をすることはできません。古い主任者証の有効期限が延びたり、効力が持続したりはしないので覚えておきましょう。

また、仕事ができない期間があっては困るという場合は、引換え交付も可能です。古い主任者証と新しい主任者証の引き換えは、登録の移転と新主任者証交付の申請を同時におこなうことで可能となります。

なお、引換え交付をした場合の新しい主任者証の有効期間は古い主任者証の残りの有効期間を引き継ぎます。新しい主任者証でも5年の有効期間とはならないので、これも覚えておきましょう。

主任者証の返納と提出

主任者証をもらうことを交付といいますが、他に返納や提出といった表現が出てくることがあります。それぞれの意味はまったく違うので注意です。

返納とは知事から交付された主任者証を返すことですが、返納しないといけないのは主任者証の効力がなくなった時です。

紛失して再交付された後に、古い主任者証が見つかった時も古い主任者証を返納しないといけません。当然ながら、登録が消除されたときも返納が必要となり、効力が失われた主任者証を勝手に捨てたりはできないのです。

ただし、仕事をしているかどうかは関係ないので、使ってないけど効力のある主任者証は返納する必要はありません。

主任者証の提出とは、事務禁止処分を受けた場合に交付を受けた都道府県知事に差し出すことを言います。事務禁止処分を与えた知事が主任者証を交付した知事とは違う場合でも、交付を受けた知事に提出をおこないます。

なお、主任証を提出したまま黙っていても勝手に返してくれたりはしません。事務禁止期間が満了後に返してもらいたい場合、返還請求をする必要があります。

主任者証に関しての重要ポイントは以上となりますが、よく似ている従業員証明書について少し解説します。

従業員証明書は従事している業者から渡されるもので「確かにそこで働いています」と証明するものです。ですから、主任者かどうかは関係なく従業員全員が携帯していないといけません。

また、取引の時などに従業員証明書の掲示を請求された場合は掲示は必須です。試験では従業員証明書はそこまで重要ではないですが、主任者証とは別物ということはおさえておきましょう。