建築確認が必要な建物と工事完了後の使用ルールおよび建築協定との違い

建築確認を受けないといけない建物

建物を建てるためには地域や構造などにたくさんの制限がかかるわけですが、建物ができてしまってから修正するのは大変です。また、いくら規制に抵触しないように建てようと思っても、あらゆる制限を確認するのも困難を極めます。

そこで、建物を建てる前に問題があるかどうかを事前に確認してもらうようになっていて、これが建築確認です。

たた、全ての建物に建築確認が必要だと今度はチェックが大変になってしまいますから、建築確認を必要とするパターンに決まりをもうけています。

宅建で覚えておきたい建築確認が必要なケースは以下です。


建築確認が必要なケース

①100㎡を超える特殊建築物

②地階を含む3階建以上の木造建築物

③延べ面積500㎡を超える木造建築物

④高さ13mを超える木造建築物

⑤軒の高さ9mを超える木造建築物

⑥地階を含む2階建以上の建物(木造以外)

⑦延べ面積200㎡を超える建物(木造以外)

上記の建物を新築する場合は、区域を問わず全国どこであっても建築確認が必要です。特殊建築物というのは、共同住宅や学校、ホテルや旅館、コンビニ、倉庫などをいいます。

また、10㎡を超える増改築や移転、大規模な修繕、模様替えなどでも建築確認が必要です。

さらに、建物の用途変更であっても100㎡を超える場合は建築確認が必要です。たとえば、自宅を共同住宅に変える場合などが用途変更に該当します。

都市計画区域、準都市計画区域では上記①~⑦+全ての建築物の新築と延べ面積10㎡を超える移転、増改築に建築確認が必要になります。

もう一つ、防火・準防火地域内でも①~⑦+全ての建築物の新築、増改築、移転に建築確認が必要です。

なお、防火・準防火地域内では、延べ面積が10㎡以下でも建築確認は必要ですから違いに注意しておきましょう。

工事完了の検査

建築確認を受けて工事が終わったら、出来上がった建物の検査をしてもらいます。そのため、建築主が工事完了日から4日以内に、建築主事(チェックする人)に工事完了検査を申請しないといけません。

申請を受けた建築主事は7日以内に建物をチェックして検査証を交付します。

大規模建築物や特殊建築物(つまり上記の①~⑦)は検査証がないと使用できません。それ以外の建物は検査証の交付を受けなくても使用可能です。

ただし、特定行政庁や建築主事による仮使用の承認がある場合と、工事完了検査申請書が受理された日から7日経過した場合は、例外的に検査証なしでも使用できます。

建築協定との違いと成立条件

建築確認と建築協定はまったく別物ですが、混合しやすいのでここで一緒に解説しておきます。

建築確認は建築基準法で定められる建物のチェックの決まりです。一方、建築協定は地域住民などによって自主的に定められる建築のルールになります。

街づくりという点においては地区計画と同じイメージですが、根拠となる法律や手続きなどが異なります。正直、細かい違いを知る必要はありませんが、建築協定が成立する条件は重要です。


建築協定が締結する条件

・条例による指定区域のみ成立
市町村によって建築協定を締結できる区域が指定されます。ようするに、どこでも自由に自分たちのルールを作れるわけではないのです。

・特定行政庁の認可が必要
一市民がいきなりルールを作れるわけにもいきませんから、特定行政庁に申し出て認可を受けないといけません。認可公告後に土地所有者、借地権者などに建築協定の効力が及びます。

・関係者全員の合意
土地所有者借地権者など、関係者全員の合意がないと建築協定は締結できません。例外として、借地権の目的となっている土地の場合は土地所有者の合意は不要で、借地権者の合意だけ得ればOKとなります。

締結に必要な条件は以上です。

なお、建築協定は1人で定めることができる点も念のため覚えておくといいでしょう。