抵当権の順位の決まり方と変更の承諾

抵当権の順位はどうやって決まる?

抵当権は目的物ひとつに対して複数設定できるので、ひとつの土地に対して抵当権者が二人以上になることもあります。抵当権者が複数いる場合にはそれぞれ平等に扱われるわけではなく優先順位がでてくるのですが、この順位は登記の前後で決まります。

先に登記したら一番抵当権者として最も優遇されることになり、二番抵当権者は弁済を優先してもらえません。抵当権が実行された時の優遇の効果は大きく、元本全額を優先的に弁済してもらえるほどのパワーがあります。

たとえ貸したお金の額が二番抵当権者のほうが大きくても、一番抵当権者の元本が弁済されるまでおあづけというわけです。

ただし利息については最後の2年分だけ優先されるという例外もあるので、この点だけ注意が必要になります。

順位変更する時のルール

難しいのは抵当権の順位が変更されるケースです。二番抵当権者の立場になると、「一番抵当権者になって優遇されたい」と思うわけですから順位変更の話し合いをすることもあります。

少し脱線しますが、法律関係の勉強で「話し合い」といった表現が使われる時は、現実には話し合いではなくお金で解決しているケースが多いです。

さて、お金うんぬんはともかく、順位を変更する以上は抵当権者全員の合意はもちろん必要となります。知らないところで勝手に自分の順位が変わっていたら大変だからです。

さらに順位変更の要件として、利害関係者の承諾も必要な点をおさえておきましょう。

利害関係者というのは、たとえば抵当権を担保にしている転抵当権者などです。先ほどと同じく、勝手に順位を変えられたら影響が出る人には承諾をもらっておかないと順位変更は不可能となっています。

注意したいのは抵当権設定者は利害関係者にはあたらないので、順位変更の承諾は不要という点です。

仮に話し合いによる順位の変更がなく一番抵当権者への弁済が済んだ場合は、自動的に二番抵当権が一番抵当権に順位アップします。理由は単純に一番抵当権が不要となるからです。

抵当権の順位に関してのルールや流れは以上のようになります。

抵当権は個人的にかなり難しい部分だと思いますが、割と出題されています。順位の変更よりも一番抵当権者の恩恵や順位の繰り上がりについてしっかり学習しておくのがいいでしょう。