登記手続きは権利者と義務者の共同申請が必要だが例外もある

登記手続きにおける2つの原則

新築や減失の時には表示登記の申請義務がありますが、移転登記は必須ではありません。自分たちのことは自分たちで決めていいという「私的自治の原則」があるため、移転登記は絶対しなければならないものではないんですね。

極端な話ですが、土地を買った後に永久に登記しなくてもOKということです。

いつまでも登記をしなかったら登記所が勝手にやってくれるのか?というと、それもありません。あくまで当事者が決めることなので、登記所が仕事をサボっているのではなく「やってはいけないこと」になっているんです。つまり、登記をしたい場合には当事者による申請が必要になります。これが登記手続きの原則1つ目です。

また、登記をすることで得をする人と損をする人がでてくるケースは珍しくありません。得をする人が勝手に自分に都合のいい登記をできないよう、申請手続きは共同でする決まりがあります。

そして、共同で登記手続きの申請をする際の得をする人を登記権利者といい、損をする人を登記義務者といいます。義務者と権利者の共同申請が必要、これが2つめの原則です。

公的な表示登記の例外

登記手続きの基本原則は上記のとおりですが、公的な表示登記に関しては例外があります。表示登記は登記しておかないとダメなものですから、当事者からの申請がなくても、登記官の職権でできるようになっているわけです。

つまり、移転登記は当事者の申請が必要なのが原則で、表示登記は職権でできるのが例外となります。

これだけならそこまで難しくないのですが、登記は他にも例外があるのが困った点です。具体的には「権利登記でも職権で可能なパターン」と「表示登記なのに職権で無理なパターン」の2つの例外があります。

まず、権利登記でも職権で可能なパターンですが、以下の2つが重要です。
・間違いで受理された管轄違いの権利登記は職権で消せる
・登記官のミスで間違った権利登記がされた場合は、職権で訂正できる

表示登記なのに職権では無理なパターンは、「建物の分割・合併登記は職権ではできない」と覚えておきましょう。注意しておきたいのは、土地の分筆・合筆登記は職権でできるケースがあるため、建物と区別しておく必要がある点です。

宅建試験対策にパターンとして覚えておいたほうがいいのは以上です。このルールは「なんで?」と考えるよりも「そういうもの」と丸暗記したほうがいい部分だと思います。

権利登記の例外は間違いとかミスとかなので「なんとなくできそう」と思えますが、表示登記の土地と建物の違いは、理由とか考えるよりもそのまんま覚えるのが吉です。

共同申請の例外パターン

登記権利者と登記義務者の共同申請に関しても例外パターンがあります。試験で重要なのは以下の6つです。

①所有権の保存登記

②表示登記

③登記名義人の住所や名前が変わった場合

④土地を相続した時などに自分の名義に変えるパターン

⑤仮登記。ただし、仮登記義務者の承諾が必要

⑥判決によって、裁判所から登記手続きを命じられた場合

①~④まではそもそも権利者と義務者がおらず、一人でしか手続きできないケースなのでわかりやすいと思います。あとの2つは、損をする人の承諾と裁判所からの命令による例外だから一人でもOKと考えておきましょう。

申請の方法

登記申請の方法は難しくないですが、ついでに覚えておくといいでしょう。申請方法の大前提として、登記は口頭での申請は不可能です。これには例外もありません。

なぜかというと、登記は不動産物権変動の対抗要件を決める重要なものだからです。土地や建物の所有権を主張するための大切な記録を口だけの申請で認めるわけにはいかないわけですね。

申請する方法はインターネットか書面、あるいは磁気ディスクの提出となっています。書面や磁気ディスクは直接登記所に持っていってもいいですし、郵送も認められています。

申請手続きのルールと比べると簡単すぎると思いますが、インターネットを使う申請のことを問題文では「電子情報処理組織を使用する方法」と表現するので、言葉の意味は理解できるようにしておきましょう。