都市計画法で覚えておきたい言葉と都市計画決定の流れ

都市計画法の目的

都市計画とは簡単にいうと、インフラ(社会基盤)を整えたりしてみんなが生活しやすい環境を作る計画のことです。住みやすい街を作るためには土地の利用方法を計画したり必要な設備を考えたりするわけですが、これらに関して定めたのが都市計画法になります。

この分野を学ぶにあたってまず重要となるのは、言葉を覚えることです。専門用語を知っているだけでは得点できないのが宅建試験ですが、聞きなれない言葉が多発する分野では何はともあれ言葉の意味を理解しないと問題が解けません。

一度で覚えきれるものでもないですから、順番にゆっくりとイメージをつけていきましょう。

最初に覚えておきたい用語

都市計画区域

都市計画区域とは都市計画を実施する場所のことで、この区域が都市計画法の適用範囲になります。1つの都道府県内に区域をを指定する場合は都道府県が、2つ以上の県にまたがる場合は国土交通大臣が区域指定をします。

都市計画区域は行政区画とは無関係に指定できるものなので、2つ以上の県がまたがることもあるわけです。

また、都市計画区域に準じた形で準都市計画区域も指定できます。準都市計画区域は都市計画区域ほど制限をかける必要はないけど、何でも自由にされては困る都市計画区域外に指定可能です。

指定するのは各都道府県ですが、関係市町村と都道府県都市計画審議会の意見を聴かないといけません。


区域区分

都市計画区域が指定されたら、今度は開発すべき場所とそうでない場所を分ける必要があります。これを線引き、あるいは区域区分といいます。

区域区分によって、都市計画区域は「市街化区域」と「市街化調整区域」の2つに分けられます。

市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域です。ようするに、みんなが住んでいてもっとよりよく開発していく必要がある場所を指します。

一方、市街化調整区域とは市街化をおさえるべき場所で、開発を抑える区域です。ただし、あくまで抑えるだけで完全に禁止されるわけではありません。

なお、都市計画区域は必ずしも線引きするわけではなく、区域区分が定められないこともあります。これを区域区分が定められていない都市計画区域、あるいは非線引き区域といいます。


都市施設

人が生活するために欠かせない道路などが都市施設です。人がいない山奥などでも道がないと困りますから、都市施設は必要があればどこにでも定めることができます。

覚えておきたいのは、市街化区域と非線引区域には道路・公園・下水道を必ず定めないといけない点です。

また、都市施設は必要不可欠なものですから、計画においては建築の制限がでてきます。


マスタープラン

都市計画を決める時に守らなけばいけない方針がマスタープランです。正式には「都市計画区域の整備・開発・保全の方針」といいます。

区域区分をする時も最初にマスタープランで決定してから始まるので、都市計画の始まりを担うものです。

また、マスタープランには市町村マスタープランもあります。これは都市計画マスタープランとは違い、市町村が決定・通知する基本方針です。

都市計画が決定するまでの流れがわからないと両者の違いが理解しにくいかもしれませんが、とりあえず言葉だけでも覚えておきましょう。

都市計画決定の流れ

都市計画には区域区分をはじめ、地域地区や都市施設などいくつか種類があります。これらが決定するまでの手続きの流れを頭に入れておくと、都市計画法の全体像が理解しやすいです。

はじめに、都市計画決定手続きは誰が決定するかで微妙に流れが違う点だけ覚えておきましょう。1つ以上の都道府県内の都市計画区域なら都道府県または市町村が決定権者になり、2つ以上の都道府県をまたがる場合には国土交通大臣が決定権者になります。

都道府県が都市計画を決定する場合の流れは以下です。

原案の作成

住民は意見書の提出が可能

関係市町村の意見を聴く

都道府県都市計画審議会の議

一定の場合(国の利害に関係がある時など)は国土交通大臣に協議し、同意を得る

都市計画の決定

公示の日から効力を生じる

国土交通大臣が決定する時も流れはほとんど同じです。当然ですが、大臣が決定権者の時は自分と協議はできませんから、大臣に協議・同意の部分はありません。

市町村が都市計画を決定した場合、その内容が都道府県や大臣が定めた都市計画に反することもあります。そうしたケースでは、都道府県や大臣が定めた都市計画が優先される点は重要ですから覚えておきましょう。