自己借地権の要件と更新しない借地権

自己借地権の要件

自己借地権とは簡単にいうと、自分で自分の土地の借地人になることです。自分の土地なのに借り物というのはおかしい話のように思えますが、実際はよくある話です。

たとえば、自分の土地にマンションを建てて各部屋を他人に分譲したとします。この時、一室だけを分譲せずに自分で使いたいなんてケースは珍しくないですよね。

分譲している人の敷地利用権を所有権にすることで敷地を他人と共有することになるわけですが、敷地はあくまで自分の所有地にしておきたいという時に敷地利用権を借地権にしておくといいわけです。

こうすることで、ひとつの敷地に複数の借地権という敷地利用権をもつことになります。

土地の元の持ち主は自分で使っている部屋の敷地利用権として、自分で自分の土地に借地権をもっている状態ができあがります。これが自己借地権の一例です。

ややこしくて違和感も残りますが、日常的にありがちなケースで考えると理解しやすいのではないでしょうか。

宅建試験でよく出題されるのは自己借地権の要件、つまり権利をもてる条件についてです。これはマンションの例のとおり、地主が他人と一緒に借地権者となる場合だけ満たせます。

「他人と一緒になる時だけ自己借地権をもてる」と覚えておくといいでしょう。

借地借家法の論点は大事なものが散りばめられている感じなので、自己借地権はさらっと学習しておくだけでも十分だと思います。

更新しない借地権

いすわり更新や請求更新、建替え更新など、借主にとって有利な制度が多い反面、地主側からすると貸した土地を一生返してもらえないなんて事態もありえます。

地主の立場も考慮して用意されている特別な借地権が、更新しない借地権で大きく3タイプあります。更新しない3つの借地権の違いも、試験対策として事前にチェックしておきたいポイントです。

一つは、10年以上50年未満の事業用定期借地権で、非居住用に限られています。つまり賃貸マンションなどは無理というわけです。また書面での契約は公正証書に限る点もよくでるポイント。

二つ目は、50年以上の定期借地権。居住用でも非居住用でもOKです。書面での契約は公正証書が望ましいとされているが、公正証書でなくてもいい点は事業用定期借地権と異なります。ただし書面での契約は必須です。

三つ目は、30年以上の建物譲渡特約付借地権。これは借地権設定者が建物を買い取って借地権を消すタイプです。定期借地権と同じく居住用、非居住用とわずどちらもOK。契約に書面は不要で口頭でも可能なのが事業用定期借地権や定期借地権と異なる。

自己借地権はそこそこでいいですが、更新しない借地権の3タイプと各ちがいは積極的に学習しておきたいところです。力の入れどころを間違えないように効率よくすすめていきましょう。