登記をするのに第三者の許可や承諾が必要なパターン

登記関係の問題は複雑な例外が多い

登記は原則と例外だけ知っていればいいというものではなく、頻出されるパターンを把握しておくか理屈をしっかり理解していないと、勘違いからの失点が起こりやすいです。

ややこしくて間違いやすいポイントのひとつが、手続きを申請する時の基本となる原則と例外のルールになります。(参考記事)登記手続きにおける申請の原則と例外

原則的には当事者である権利者と義務者が共同申請をすれば認められるものですが、第三者の許可や承諾が必要となるケースもいくつかあります。

以下、出題されやすいポイントです。

第三者の許可や承諾が必要になる?

Q 売買によって農地の所有権移転登記をするのに許可や承諾は必要?

A 必要(知事などの許可)
農地はそもそも農地法で守られていて、許可がないと契約不可能。そのため、移転登記も必然的に許可が必要となる。

Q 取得時効によって農地の所有権移転登記をするのに許可や承諾は必要?

A 許可は不要
時効は農地法より優先される。そのため、時効によって取得した場合には許可をえないで所有権が移転したことになる。よって移転登記も無許可で可能。

Q 登記上で利害関係のある抵当権者がいる土地の所有権の登記を消すのに許可や承諾は必要?

A 抵当権者の承諾が必要
所有権の登記を抹消されることで、抵当権者は抵当権を失うことになる。承諾を得ずに登記を消すと抵当権者に不利益になるので、必要ということです。

Q 抵当権設定登記のある土地の分筆登記に許可や承諾は必要?

A 抵当権者の承諾は不要
土地を分筆しても両方の土地に抵当権は残る。分筆されても抵当権者は損害を受けたり不利益になることもないので、断りはいらないというわけです。

慣れないうちはパターンを暗記しておこう

上記のケースでは、わかりやすいように背後にある理屈も合わせて解説していますが、登記手続きの第三者の許可や承諾が必要なパターンを学習する際、最初から「どういう理由でOK?NG?」と考えるのはオススメしません。

例えばですが、抵当権の効力が及ぶ範囲の理解が不十分の時に、「分筆して抵当権が残るかどうか?」って考えてもわからないですよね?最初に登記手続きを学習した時に抵当権の効力の範囲まで覚えておくのは大変です。

ですから、とりあえずは第三者の許可や承諾に関しては、上記をパターンとして丸々覚えておくのがいいと思います。

学習がすすみ過去問も解くような段階の時には、それぞれの権利や法律の原則もある程度頭に入っていると思います。

その時になって改めて「なぜ?この場合はこうなるのか?」を考えると理解が深まります。そうすればもしも上記以外のパターンが出題されても、背景にある理屈から正解を導くというやり方が通用して、色々な問題に柔軟に対応できるようになります。