注視区域と監視区域における届出
国土利用計画法における通常の届出とはルールが変わる注視区域と監視区域について解説します。
まず前提として、注視区域も監視区域も規制区域も、地価が高騰するの防ぐために定められるものです。地価が上昇、あるいは上昇するおそれのある地域を知事が期間(5年以内)を定めて指定します。
注視区域内で土地取引をしたい場合は、事前に両当事者による知事への届出が必要です。これが事前届出制といわれるもので、契約後の届出とは違い、必ず取引前に届出をしないといけません。
注視区域内において無届で契約をした場合は懲役や罰金などの罰則が科せられます。
事前届出をしても、場合によっては知事による利用目的の変更や契約の中止、あるいは対価の減額といった勧告がなされることもあります。
ただし、事後届出と同じく、勧告を無視しても罰則はありませんし契約も有効です。勧告内容の公表といった制裁も事後届出と共通しています。
また、注視区域内というだけで全ての取引に届出が必要なわけではありません。
事前届出が必要な取引は事後届出が必要な基準面積と同じなので、特に難しくないと思います。
面積によって届出の有無が決まるということは、注視区域内でも届出対象面積未満の土地取引は届出なしに自由に可能なわけです。
しかし、それではものすごく地価が上がる場所もでてくることがあります。なので、そうした場所を監視区域に指定して、届出対象面積をさらに狭くしているのです。この面積は都道府県知事が、各都道府県の規則で定められます。
規制区域とのちがい
注視・監視区域以上に厳しい制限があるのが規制区域です。規制区域の細かい定義は、正直覚える必要はありません。
ただし、上記で登場した注視区域と監視区域との違いはおさえておくのいいでしょう。
宅建でポイントとなる違いは主に以下のような部分です。
区域を指定する人 → 注視区域・監視区域は知事が指定する。規制区域も知事だが、国土交通大臣が指定する例外がある
届出の有無 → 注視区域・監視区域では事前の届出が必要。規制区域では許可が必要となる。
無届・無許可の契約 → 注視区域・監視区域では契約は有効だが、規制区域では無効になる。
規制区域では契約に知事の許可が必要なのですが、必ず許可されるとは限りません。そうした場合、知事に対して「許可をくれないなら土地を買ってよ」と請求可能です。これが買取請求制度と呼ばれるもので、規制区域に限り利用できます。
ただ、規制区域は過去に例がないらしく、宅建でも出題頻度は低めです。
国土利用計画法の範囲では事後届出のほうがはるかに大切ですから、今回の内容は言葉の意味と各区域の違いを理解する程度で十分でしょう。