宅地造成等規制法における宅地の定義と造成工事の許可・届出

宅地造成等規制法の目的

宅地造成等規制法は、土砂の流出やがけ崩れが起こりそうな場所を指定して災害を防止する目的で定められた法律です。

台風や大雨の時に土砂災害などのニュースを見ることも少なくないと思いますが、傾斜地ではがけ崩れなどが起こりやすくなっています。ですから、事前に危なっかしい場所を指定して綺麗にしておこうというわけです。

この危なっかしい場所のことを宅地造成工事規制区域といい、都道府県知事によって区域が指定されます。

区域が指定されると宅地造成工事をするのに都道府県知事の許可が必要になります。開発許可がある場合は不要ですが、許可を得るのは工事着手前が条件です。

なお、ここで言う宅地とは宅建業法で言うところの宅地ではありません。

宅地造成等規制法における宅地は農地、採草放牧地、森林、公共施設用地以外の土地を指します。登記は当然関係なく、建物の敷地、用途地域といった宅建業法で宅地と定義するのに関係していた項目は無関係です。

意外と盲点なので、勘違いしないように注意しましょう。

造成工事の許可と届出

宅地造成とは土地を宅地にする、または宅地の形質を変更する工事を指しますが、工事の規模が言葉の定義に関わってきます。

宅地造成工事に該当するもの
・高さ2mを超える崖を生じる切土
・高さ1mを超える崖を生じる盛土
・盛土部分に高さ1m以下の崖が生じ、切土と盛土を合わせて高さ2m以上の崖が生じる場合
・上記以外でも切土または盛土をする土地面積が500㎡を超える工事

宅地ではない森林を宅地ではない農地にしたりするのは宅地造成にはあたらないため、無許可でも可能です。

宅地造成に該当する工事をする場合は、造成主が知事の許可を受けないといけません。造成主とは造成工事の請負契約の注文者で、請負人である工事施行者とは違います。ただし、自らが工事をする場合は、一人二役で造成主が工事施行者となります。

許可を受ければ工事が始まりますが、途中で変更がある場合や問題がある時には届出が必要です。

・宅地造成工事の許可を得た者が、計画に軽微な変更をした場合
遅滞なく知事に届け出をしないといけません。また、変更が軽微ではない場合は、事前に許可をえる必要があります。

・ 宅地造成工事規制区域指定の際にすでに宅地造成工事を行っていた造成主
宅地造成工事規制区域指定の日から21日以内に知事に届け出ないといけません。

・宅性造成工事規制区域内で、宅地以外の土地を宅地に転用した者
転用した日から14日以内に知事に届け出ないといけません。

造成工事完了後は、工事が技術的基準に適合しているかの検査を受けないといけません。検査に合格した場合は、都道府県知事から検査済証の交付を受けます。