土地区画整理法の目的と区画整理の流れおよび換地処分公告の効力

土地区画整理法の目的

土地区画整理法の目的を簡単にいうと、土地の整備です。

車も通れないような狭い道や曲がりくねった道路、あるいはボコボコで不便な土地をキレイにすればより住みやすい街づくりが実現できますが、広く土地の整備をしようと思うとすでに家を建てている人をはじめ、たくさんの人に影響がでます。

そうした理由から、土地を整備するにあたってのルールや制限などを土地区画整理法で定めているわけです。

宅建では1問だけしか出題されませんが、ポイントをおさえれば出題される部分を狙い撃ちできるので、ぜひとも学習しておきましょう。

まずは、区画整理の基本的な流れの確認です。

区画整理の流れ

①事業の認可
土地区画整理事業の施行にあたって、最初に都道府県知事または国土交通大臣の認可を得ないといけません。

②換地計画
換地処分については後ほど詳しく解説します。ここでは換地計画を必ず定めないといけないと覚えておきましょう。

③仮換地の指定
従前の宅地の所有権者に仮換地を与えます。

④区画整理
土地や道などを整備していきます。

⑤換地処分の公告
区画整理が終わったら、換地は元の所有権者のものになります。

かなりザックリした解説ですが、ここではイメージだけ覚えておけば十分です。他にも減歩(げんぷ)という区画整理のやり方がありますが、換地処分のほうが大事なのでここでは省略します。

なお、言葉の意味は以下です。

換地・・・区画整理が終わった後の土地

仮換地・・・区画整理の間、従前の宅地に住んでいた人が住む借りの土地。一時避難所みたいなイメージです。

従前の宅地・・・区画整理前の土地

流れの中で特に重要なのは③、⑤で、区画整理の間に権利に動きがあります。

仮換地が指定される理由は、従前の宅地をつぶしたりする時に所有者が元の場所にいては困るからです。当然、工事が始まったら仮換地に移動してもらう必要があり、従前の宅地を今までと同じように使われるわけにはいきません。

そこで「仮換地指定の効力が発生した日」から「換地処分が公示される日」までの間は、従前の宅地の持ち主(所有者・借地権者等)は使用収益権を失います。

注意したいのは、所有権は従前の宅地のままで使用収益権だけがなくなる点です。使用収益権というのは使うことで利益を得る権利ですが、土地に家を建てて住むのも使用収益権による行為になります。家を建てることに土地を使い、家に住むという利益を得ているというイメージで考えてみてください。

使用収益権を失うわけですから、従前の宅地に住んだりはできなくなるわけです。そして、従前の土地の使用収益権は区画整理事業の施行者が管理します。

なお、従前の宅地についての所有権は移転しないため、売却したり抵当権を設定したりは自由に可能です。

使用収益権を失った従前の宅地の持ち主は仮換地で工事の終了を待ちます。この期間、つまり従前の宅地の使用収益権を失う間は、仮換地に使用収益権が移るわけです。

そして、無事に区画整理が完了すると換地処分がなされます。これは要するに、キレイに整備された土地を戻してあげる作業です。

換地処分は全区域の工事完了後、関係権利者(従前の宅地の権利者など)に一斉通知する形でおこなうのが原則です。ただ、一部の工事が完了してない場合でも例外的に通知はできます。

換地処分の後で、都道府県知事が換地処分があった旨を公告して区画整理は完了です。換地処分と換地処分公告は別なので、混合しないように注意しましょう。

ここまで長くなりましたが、最後の換地処分公告がおよぼす効力が特に重要です。

換地処分公告の効果

◆換地処分公告日の終了時(24時)に効力発生
・仮換地指定の効力が消滅
・換地を定めなかった従前の宅地の権利が消滅
・事業の施行により必要なくなった地役権が消滅

◆換地処分公示日の翌日に効力発生
・換地が従前の宅地とみなされる
 → 整備された土地が元の権利者のものになるという意味です。

・精算金の確定
 → 精算金とは、全部または一部を換地とせずに精算する時のお金です。

たとえば、区画整理によって従前の宅地よりも換地が狭くなったら、損した土地の分をお金でもらったりできます。逆に区画整理で従前の宅地よりも広い土地を得た場合は、清算金を支払います。厳密にはもっと細かい話がありますが、イメージだけわかれば大丈夫です。

・施行者による保留地の取得
 → 保留地とは、土地区画整理組合や地方公共団体等が区画整理施行費用のために定めておく土地です。

区画整理後に余った土地を全て換地とせずに保留地としてとっておき、売却して費用にあてます。この保留地を公示日の翌日に施行者が取得するわけです。

最後に、土地区画整理事業には個人や土地区画整理組合が施行者となる民間施行と、地方公共団体などが施工者となる公的施行がある点も頭の片隅にとどめておくといいでしょう。