宅建業者と取引主任者への監督処分・罰則で覚えておきたいポイント

監督処分の基本

宅建業者や取引主任者が違法行為をした場合には、監督処分や罰則といった形でペナルティが課されます。

この分野を学ぶ時に大前提として覚えておきたいのは、業者に対する監督処分と取引主任者個人への監督処分は別という点です。

宅建業者に対しての監督処分は「指示処分」「業務停止処分」「免許取消処分」で、主任者に対しての監督処分は「指示処分」「事務禁止処分」「登録消除処分」となっています。

これらをひっくるめて監督処分と呼んでいますが、誰が?処分を言い渡すのかというと、免許権者や登録権者、あるいは違法行為があった都道府県の知事です。

しかし、業者への免許取消処分と主任者への登録消除処分は免許権者か登録権者しかできません。違法行為あった都道府県知事では免許の取り消しや登録消除はできないというわけです。

また、監督処分は違法や不正があればすぐにできるものではなく、事前に聴聞をしないといけません。復習になりますが、聴聞とは違法行為を行った者の話を聞いてあげる場です。

なお、処分を受ける者が正当な理由なく聴聞への出頭命令を無視したりした場合などは、聴聞は終結されます。

試験対策に丸暗記しておきたい監督処分の内容

監督処分は理屈抜きに暗記で乗り越えれる部分ですから、以下の項目をそのまま覚えておきましょう。

宅建業者に対する指示処分は以下の場合に可能
・業務に関し宅建業法以外の法令に違反し業者として不適当な場合
・業務に関し取引関係者に損害を与え、または与えるおそれが大な場合
・取引主任者が監督処分を受け、その原因が業者にある場合
・宅建業法に違反した場合

宅建業者に対する業務停止処分は以下の場合に可能
・業務に関し宅建業法以外の法令に違反し業者として不適当な場合
・取引主任者が監督処分を受け、その原因が業者にある場合
(上記の指示処分と同じ。指示処分か業務処分かは、処分をする者が決める)
・指示処分に従わない場合
・営業保証金供託届出前に事業を開始した場合
・専任の取引主任者の設置義務違反
・従業者名簿を備え付けていないとき
・誇大広告の禁止違反
・取引態様明示義務違反
・重要事項の説明義務違反
・媒介契約書の不交付
・37条書面の交付義務違反
・報酬額の制限違反
・断定的判断の提供・威迫
・重要な事実の不告知・不当な履行遅延
・守秘義務違反

以下の場合、宅建業者に対して必ず免許取消処分をしないといけない
・不正手段による免許の取得
・業務停止処分に違反した場合
・業務停止処分事由にあたり、情状が特に重い場合
・免許の欠格事由に該当した場合
・免許取得から1年以内に業務を開始しない場合

なお、知事や大臣がつける免許の条件に違反した場合も免許取消処分を受けることがありますが、これは絶対ではなく免許権者の任意です。

主任者に対する指示処分は以下の場合に可能
・名義貸しを許し、他人がその名義を「使用」した場合
・取引主任者の事務に関し、不正または著しく不当な行為をした場合

主任者に対する事務禁止処分は以下の場合に可能
・名義貸しを許し、他人がその名義を「表示」した場合
・取引主任者の事務に関し、不正または著しく不当な行為をした場合
・指示処分に違反した場合

不正・不当行為に関してはいきなり事務禁止処分になる場合と指示処分ですむ場合があります。また、事務禁止処分を受けた取引主任者は交付を受けた知事に主任者証を提出しないといけません。

以下の場合、主任者に対して登録消除処分をしないといけない
・主任者登録の欠格事由に該当した場合
・不正手段で主任者登録または主任者証の交付を受けた場合
・指示処分事由、事務禁止処分事由に該当し、情状が特に重い場合
・事務禁止処分に違反した場合

登録消除処分を受けた取引主任者は交付を受けた知事に主任者証を返納しないといけません。

罰則で覚えておくべきポイント

宅建業法における罰則には、懲役・罰金・過料があり、異なる罰則を科されることを併科といいます。罰則は大量にあるため、全部をここに掲載することはできません。

というか、全部を覚える必要はなく、重要ポイントだけをおさえるのがいいでしょう。

以下のパターンは頻出されるので、丸暗記がオススメです。

・業者が不正手段で免許を取得した場合
3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金または両者の併科・両罰規定アリ

主任者登録や主任者証の交付に不正があっても罰則はありません。登録消除処分はあります。

・誇大広告の禁止に違反した場合
6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金または両者の併科 両罰規定あり

・帳簿の備付け義務違反・記載不備・虚偽記載があった場合
50万円以下の罰金、両罰規定あり

・守秘義務違反
50万円以下の罰金・両罰規定なし

・重要事項の説明の際に取引主任者証を提示しなかった場合
10万円以下の過料・両罰規定なし

両罰規定というのは、違法行為をした個人の処罰にくわえて、その法人も一緒に処罰される規定を指します。ただし、何もしていないのに両罰規定で一緒に処分される場合は罰金だけとなります。