地価公示法でおさえておきたい公示価格決定の流れと地価公示の効力

公示価格とは?

土地の取引をする時は、どんなに悪くとも相場通りの値段で売買したいと思うものですが、一般消費者では適正価格を判断することは難しいです。

そのため、買い手と売り手の双方がフェアな取引をできるよう、客観的な市場価格を公示する地価公示制度というものがあります。相場通りの正常な価格のことを公示価格といい、これを広く伝えているわけです。

公示価格を伝えることで、一般消費者でも土地の相場を知ることができますから、適正な取引ができ、地価の高騰も防げるようになります。

ただし、公示価格は努力目標であり、絶対にその価格で取引しないといけないわけではない点に注意です。

宅建では公示価格に関する問題は比較的出題されやすいので、その他の分野にあまり時間を割けない場合でも積極的に学習しておきましょう。

なお、地価公示制度を定めた法律「地価公示法」を深く学ぶ必要はありません。

試験で頻出される地価公示の流れをおさえておけば十分なので、ここだけに集中するのが吉です。

地価公示の流れと効力

①土地鑑定委員を任命
国土交通大臣が土地鑑定委員会を任命します。

地価公示の一番最初のプロセスですが、正直覚えなくても大丈夫だったりします。

②標準地の選定
土地鑑定委員会が公示区域内に標準地を選定します。

公示区域というのは、土地取引が相当程度見込まれる場所で、都市計画区域外も含まれます。注視区域や監視区域でも標準地が選定されますが、規制区域は除外されます。規制区域は取引するのに都道府県知事の許可が必要なので、地価の高騰をする恐れがないからです。

③正常な価格の判定
土地鑑定委員会が2人以上の不動産鑑定士に鑑定評価を求めます。

不動産鑑定士は標準地付近の地目や利用目的が同じ土地の「取引価格」「地代」「造成費用」を考慮した上で鑑定評価を行います。

その結果を土地鑑定委員会が審査・調整して正常価格が決定されます。正常価格は、基準日(1月1日)における標準地の単位面積(1㎡)あたりで決定されるのがポイントです。

なお、正常価格というのは自由に取引をする場合の価格のことで、土地に「借地権」や「建物」が存在していた場合は、ないものとして判定します。

④土地鑑定委員会による公示
毎年1回、官報に標準地の単位面積(1㎡)当たりの公示価格を公示します。

標準地および周辺土地の利用状況なども公示されますが、周辺土地価格は公示されません。

⑤送付と閲覧
土地鑑定委員会は、市町村が所在する都道府県の標準地の公示価格を記載してある書面と図面を関係市町村に送付します。関係市町村長は、これを一般の閲覧に供します。

ここでは国土交通大臣や都道府県は関係ないので注意しておきましょう。


地価公示の効力

・一般土地取引 → 公示価格を指標とする

・不動産鑑定士が正常価格を求める場合
・公共事業用地の取得価格算定
・土地収用に対する補償金額算定
 → 公示価格を規準とする

指標には強制力はありませんが、規準には強制力があります。規準義務のほうが、より公示価格を参考にした取引が求められるわけです。

なお、国や地方公共団体が民間に公有地を売却するといった場合は、通常の取引と同じく、公示価格を指標とした取引を行うよう努めないといけません。