景品表示法で覚えておきたい不当景品・不当表示の内容

景品表示法の目的

不当景品類及び不当景品表示法という法律自体は「景品表示法」「景表法」など、省略した表現で聞いたことがある方も多いと思います。

不動産に限った話ではありませんが、消費者は広告を頼りにするケースが多々ありますよね。しかし、間違った情報を載せたり誤解されるような表現をすると、広告を信じた人には不満が残ります。あるいは、最初から客を釣る目的で広告をする悪徳業者もでてくるかもしれません。

そこで、事業者の公正な競争と一般消費者の保護の両方を目的として作られたのが景品表示法です。正しく広告するためのルールが定められた法律と捉えておくといいでしょう。

不当景品の提供や不当表示をした場合、事業者に対して内閣総理大臣による弁明の機会が与えられます。宅建で何度も出てくる表現ですが「言いたいことあるならきなさい」という意味です。

弁明の機会を付与され、その後は措置命令がおこなわれます。表示の差し止めや広告の訂正、再発防止の措置といった制限がかけられるわけです。

この措置命令は違反行為がなくなった場合でもできます。けっこう大事なポイントなので覚えておくようにしましょう。

不当景品と不当表示で覚えておきたい点

「不当景品の提供が禁止されている=不当じゃなければいい」わけですが、具体的にどういう景品ならいいの?というのが大切です。

提供がゆるされる景品は、取引価額の10分の1または100万円のいずれか低い額を超えない場合となっています。

懸賞により提供する景品は、取引価額の20倍または10万円のいずれか低い額を超えない場合(景品類の総額が取引予定総額の100分の2以内)です。

なお、これらは不動産に限った話ではありません。

不当表示についてですが、これは不当な表示の禁止だけでなく「表示しないことが不当表示に該当する」こともあります。

宅建でおさえておきたいのは宅建業者の物件広告に関する事項で、その具体的内容は以下です。

表示しないことが不当表示になる

・土地の全部または一部が高圧線下にある場合、高圧線下にある旨およびおおむねの面積を表示しないといけない。建物の建築が禁止されているなら、その旨も明示しなければならない。

・市街化調整区域の土地については、原則として「市街化調整区域のため、宅地造成および建物の建築は不可」と明示しなければならない。

・古家、廃屋等が建っている土地の広告については、その旨を明示しなければならない。

・接道義務に違反する土地等については、建物が建築できない旨(再建築も)を表示しなければならない。

・私道負担のある土地では、私道負担部分の面積まで表示しないといけない。

・道路法または都市計画法に基づく道路予定地を含む土地については、その旨を明示しなければならない。

・土地の地下に地下鉄が走っている場合は、その旨を明示しなければいけない。

他にも多数ありますが、表示しないといけないルールで特に覚えておきたいのは以上です。

また、広告で「駅まで徒歩何分」といった表示をみたことがあると思いますが、あの所要時間は道路距離80mにつき1分間として表示しないといけません。ただし、信号の待ち時間などは考慮する必要はなく、1分未満の端数が生じたときは1分として表示します。

それと、新築と表示していいのは、建築後1年未満であって居住の用に供されたことがないものである点もおさえておきましょう。

その他、不当表示の注意点

・売地の近くに駅が新しくできるといった表示は、当該路線の運行主体が公表したものを新設予定時期として明示し表示する場合に限りできます。宅建業者の憶測などは当然不可です。

・おとり広告の禁止
「物件が存在しないため、取引できない」「物件は存在しても取引の対象とはならない」「物件は存在するが、取引する意思はない」こういった場合の広告はおとり広告に該当します。

いずれのケースでも不当表示になります。

・宅地建物の価格は、原則として1区画あたりの価格を表示しなければならない。
分譲宅地など、全ての価格を表示できない場合は最低価格と最高価格の表示でも可能です。ただし、販売物件数が10以上の場合は、最多価格帯とその価格帯に属する数も表示しないと不当表示になります。

なお、宅建業者が広告会社などに委託して作成した広告内容が不当表示に該当した場合も責任は業者にある点も覚えておきましょう。