手付金等の保全措置についてわかりやすく解説

手付金等の保全措置とは?

手付金を払った契約でも債務不履行を理由とした解除なら、手付金の返還を求めることができます。しかし、宅建業者が自転車操業状態だったりバックれたりして手付金を失ってしまう恐れがあるケースは多々あります。

そうした事態に陥った時に消費者が手付金を取り戻せる制度が手付金等の保全措置です。

「等」なので、手付金だけでなく「契約締結から物件の引き渡し前に支払われ、代金に充当されるお金」の全てが含まれます。内金や中間金などが頻繁に出題されるので、どういう時のお金を理解しておきましょう。

手付金等の保全措置が必要ということは宅建業者が手付金を返せないわけです。ですから、「銀行等の金融機関」「保険事業者」「指定保管機関」の3者のいずれかが代わりに負担してくれます。

ただし、宅建業者は事前にいずれかと手付金等保全契約をしないと手付金を受け取れません。また、契約をするだけでは不十分で、手付金を受領する前に保全措置を講じないといけないのです。

何日前という決まりはないですが、保全措置がとられないなら、手付金を払う必要はないので、消費者のお金が守られます。

措置が講じられても手付放棄ができなくなるわけではないので、買い手に不利益はありません。

なお、未完成物件の売買では指定保管機関(保証協会など)と手付金等保全契約をすることはできません。それ以外の制限は特にありませんから、これだけは覚えておきましょう。

措置がなくても良い場合

手付金等の保全措置をとらなくてもいい場合もよく出題されます。これは2つあって、1つは「買い手が登記を得た場合」もう1つは「金額が小さい場合」です。

・登記をえた場合
登記をえれば、完成物件か未完成物件かは関係なく手付金等の保全措置は不要になります。 登記があれば所有権の主張ができますから、契約の解除、さらに手付の返還といった事態まで発展する可能性はないからです。

・金額が小さい場合
手付金の額が小さすぎると契約も複雑になりますから、措置が不要となるラインが定められています。

①未完成物件 →代金の5%以下、かつ、1000万円以下
②完成物件 →代金の10%以下、かつ、1000万円以下

手付金の額が上記の場合には、宅建業者は措置をとらなくても手付金を受け取ることができます。数字は要暗記項目で、物件の代金に対して5%か10%をかけて、それが1000万円以上なら措置が必要と考えましょう。

手付金の額が1000万以下でも、冒頭でお伝えした中間金などを合わせて1000万円を超える問題も多いので、勘違いに注意です。

なお、措置が必要な額と営業保証金の範囲は関係ありません。手付金等の保全措置はあくまで自ら売主制限ですから、別物と考えるのが大切です。

最後にもう一つだけ問題を解くときの注意点ですが、媒介や代理と絡めて必要か不要かを問う問題がよく出題されます。必ず「業者が売主、買主が一般消費者」の図式に当てはまるかを考えてから解くように気をつけましょう。