宅建で勉強すべき弁済の基本と第三者が弁済に関わるケース

弁済の基本

借金を返すときに弁済という言葉を使うこともありますが、代金の支払いなども弁済にあたります。弁済によって債権者のもつ債権は消滅するので、弁済は債権消滅事由の1つというわけです。

債権消滅事由は他にも相殺や免除、混同などがありますが、宅建試験対策にはここで学ぶ弁済と相殺を優先的に学ぶのがいいでしょう。

弁済の定義は、債務者が債務を履行し債権者の目的が達成されたうえで債権が消滅することです。借金払いを考えるとわかりやすく、借金を返すこと(債務の履行)で債権者の目的(お金を返してもらう)が達成されて債権も消滅します。

弁済は原則として債権者の現住所で行うため、債務者は債権者のところまで行かないといけません。ただし、特定物(個性のあるもの)を弁済する場合は、債権発生時にその物があった場所が弁済場所になります。

借金を返したいけどお金を工面できないなんてケースもあると思いますが、自分の都合で物による弁済をすることは認められません。ただし、債権者が同意をしている場合に限り、金銭債務(借金)の代わりに物で弁済することもでき、これを代物弁済といいます。

なお、きちんと弁済した場合は債権者から弁済した証拠として受取証書をもらう必要があります。そうしないと「払った払わない」の水掛け論になりますし、債務者としても払った証拠は残すべきです。

なので、債権者が受取証書をくれない時は、債務者は弁済拒否ができます。これによって弁済時期が遅れても履行遅滞とはなりません。

第三者が関わるケース

ものすごく当たり前の話ですが、弁済をする人は債務者本人で、弁済を受ける人は債権者です。債務者に限っては代理人に弁済してもらうこともできます。

また、利害関係のある第三者は債務者の意思に関係なく弁済可能です。利害関係のある第三者とは、物上保証人や抵当権設定不動産の取得者のことで、家族や親しい友人というだけでは利害関係があるとは認められません。

利害関係がない第三者は債務者の意思を無視した弁済は不可能です。さらに、債務が本人でなければならない場合なども第三者による弁済はできません。弁済のイメージとはかけ離れますが、たとえば、著名人の講演などはその人でなければ意味をなさないので、講演をする(債務の履行)のは第三者では無理なのです。

債務者や代理人が手違いで本来弁済を受ける人ではなく、第三者に弁済してしまった場合には弁済は無効になります。ただし、債権の準占有者に善意無過失で弁済した時は、第三者への弁済も有効です。

ようするに、権利書や実印をもっていたりして本当の債権者と間違えられてもおかしくないような人に、何も知らずに弁済した場合だけ例外的に認めれます。

こうしたケースで弁済が有効となった場合、債権は消滅しているので、債務者は本来の債権者に弁済する必要はありません。この時、債権者は債権を第三者に消された被害者ですが、それでも債務者に弁済義務はないのです。

なお、借金を返すときなどに元利合計(元本と利息の合計)が足りない時は、先に利息から充当されて残りが元本の返済にあてられます。民法や宅建どうのこうのではなく一般的な知識ですが、知らなかった場合は覚えておきましょう。