用途地域で異なる建ぺい率の数値と基本的な計算方法

用途地域ごとの建ぺい率

建ぺい率とは、敷地面積に対する建物の建築面積のことです。なんのドラマか忘れましたけどセリフで使われたこともあって、それで言葉を知った方もいるのではないでしょうか。

建ぺい率は建築面積÷敷地面積で計算し、基本的に分数で表されます。たとえば建ぺい率10分の3だったら、100㎡の敷地に対して建て坪30㎡の建物までなら建築可能となります。

このような制限がある理由は、建物の密集による火災の広がり防止や各建物の環境(日当たりなど)のためです。同様の目的で容積率がありますが、これは別記事で解説していますので、ここでは建ぺい率だけ覚えておきましょう。

建ぺい率を定めた目的などは特に知らなくても問題ないですが、試験対策として絶対に覚えておきたいが用途地域ごとの建ぺい率の数値です。


用途地域ごとの建ぺい率

・第一種第二種低住、第一種第二種中住、工業専用地域
10分の3、4、5、6の中から都市計画で定める

・第一種第二種住居、準住居、準工業地域
10分の5、6、8の中から都市計画で定める

・近隣商業地域
10分の6、8のどちらかから都市計画で定める

・工業地域
10分の5、6のどちらかから都市計画で定める

・商業地域
10分の8

・用途地域外
10分の3、4、5、6、7の中から、特定行政庁が定める

例外として以下の場合は建ぺい率が緩和、つまり数字がプラスされます。

・特定行政庁の指定する角地の建築物なら、+10分の1

・建ぺい率の限度が10分の8の地域(商業地域など)以外で、防火地域内の耐火建築物を建てる場合は+10分の1

・防火地域内で特定行政庁の指定する角地に耐火建築物を建てる場合は、+10分の2

また、以下の建物には建ぺい率は適用されません。

・建ぺい率の限度が10分の8の地域(商業地域など)で、防火地域内にある耐火建築物

・交番や派出所などの公益上必要とされる建物

・公園や広場などにあり安全面等に問題がなく、特定行政庁が許可した建物

・特定行政庁から許可を受けた仮設建築物

上記の項目は基本も例外も全て覚えておくのがオススメです。問題では数値を与えられるケースもなくはないですが、一切与えられないことも多々あります。

また、基本数値だけ与えられて選択肢で例外パターンがでるということもありますから、どちらも覚えておくのが安心です。

複数の地域にまたがる場合の計算方法

建物が2つ以上の地域にまたがる場合は、各地域ごとに何㎡の建物までなら建築可能かを計算してそれぞれを合計します。

たとえば、200㎡の土地のうち120㎡が第一種住居地域にあり、残りの80㎡が商業地域だったとします。都市計画で定められた建ぺい率が第一種住居地域10分の6、商業地域10分の8だったら、それぞれの土地に建てれる建物の建築面積は以下のようになります。

第一種住居地域(120×10分の6=72)+商業地域(80×10分の8=64)=136㎡
つまり、この例では建て坪136㎡の建物までなら建設可能になるわけです。

もう一つ、試験対策に覚えておきたいのは、複数をまたいだ土地全体の建ぺい率の計算方法です。簡単に計算するなら、今求めた建築面積の最高限度136㎡を全体の土地面積で割ると、その土地全体の建ぺい率がでます。

136(建築面積の限度)÷200(土地全体の面積)=0.68=100分の68、これが土地全体の建ぺい率になります。

最初に建築面積の限度を求めない場合でも、第一種住居地域(10分の6×200分の120)+商業地域(10分の8×200分の80)=100分の68と同じ答えです。

100分の68=200分の136ですから、200㎡の土地に建て坪136㎡までの建物はOKとなり、各地域の建て坪限度を出して合計した場合と同じ答えになります。

どちらも計算自体は単純なので、やりやすいほうでいいと思います。ただ、建ぺい率を求める問題は少し時間をとられるかもしれませんので、時間が厳しい場合はスルーするのも一つの手です。

実際に計算してみたら全然難しくないので、過去問などで練習をしておくのがいいでしょう。