登記記録の基本
登記記録には、土地や建物などの不動産の権利や地目などが記録されています。土地は一筆、建物は一個という単位で作成していくのですが、もっと具体的な内容が試験では問われます。
学習ににあたってまず覚えておきたいのは、表題部と権利部という2つの記入箇所です。
表題部には「これはどこの何の登記記録か?」ということを記録していきます。土地と建物では同じ不動産でも必要な情報が違いますから、登記事項も違います。
土地の場合は「所在地」「地目」「地積等」が記録しないといけません。地目というのは宅地や畑、山林といった土地の用途で、地積というのは面積です。
建物の場合の記録内容は「所在地」「種類」「構造」「物理的形状」となります。
こうした内容を表題部に記録することを表示に関する登記あるいは単に表示登記といいます。なお、表示登記の目的はあくまで「どこの何の不動産かを知ること」ですから、価格などは記載する必要はありません。
次に権利部ですが、ここは文字通り不動産にかかる権利を記録する部分です。表示登記に対して権利登記あるいは権利に関する登記といいますが、権利といっても膨大にあります。そのため、試験対策としては必要最低限のものだけおさえるのがオススメです。
具体的に宅建で必要となるのは「所有権に関する登記」「用益権に関する登記」「担保権に関する登記」となります。
所有権に関する登記はそのままの意味で、土地や建物などの所有権について登記できます。用益権いうのは、人の土地を使わせてもらう権利という意味で賃借権などがあります。担保権は抵当権に代表される、人の土地や建物を売れる権利です。
用益権や担保権を細かく解説しているテキストもありますが、正直サラッと流しても大丈夫です。
権利登記の登記事項は権利に関すること全てと思っていても問題ありません。売買契約で所有権が移転したら、権利部に所有権移転登記をするだけで簡単だと思います。
権利の登記以外で権利部に記録されるのは、抹消や特約、共有時の持ち分などです。
ここまではそれほど難しくないですが、表題部と権利部の細かい決まりに関して覚えておく必要があります。
表示登記と権利登記のルール
建物を新築したり、滅失した時には1ヵ月以内に表示登記の申請をしないといけません。申請するのは建物の所有者で、これは義務として定められています。そして、新築時に最初に記録される表示登記を表題登記といいます。
表示登記とはちがって権利登記には登記の申請義務がありません。権利に関する記録は物権の変動によるものですから、登記の有無も自由となっているのです。
権利部に所有権をはじめて記録する時は所有権保存登記となります。これをできるのは表題部所有者か、確定判決で所有者と認められた人です。
表題部所有者というのは、表題部に記録されている所有権者の名前ですが「権利関係のことを表題部に記録?権利部でなくて?」と思うかもしれません。表題部に所有権者の名前、つまり権利に関する記録がされるケースもあるのです。
というのも、権利登記はそもそも義務ではないため、権利部に記録がない土地や建物もたくさんあります。こうした不動産の持ち主がわからないのは困りますから、例外的に表題部に所有権者の名前を記録しているのです。
表題部に記録されるものですから、たとえ所有権者のことであっても権利登記とはならない点は注意しておきましょう。
その他のポイント
箇条書きで細かい説明は省略しますが、難しくないのでそのまま覚えてしまいましょう。
・記録された権利の順位は登記の前後で決まる
・登記事項証明書は誰でも見れる
・登記事項証明書の交付には登記印紙が必要
・仮登記は対抗力をもたないが、本登記の優先順位になる